1970年代にアメリカで始まったHACCPは、食品衛生管理についてプロセスの見える化を目的としたものであり、その後さまざまな国と地域で導入されました。
日本では2018年に、食品製造や食品加工、調理や販売を行っている事業者すべてに対して、HACCP導入を義務化した改正食品衛生法が定められ、2021年6月よりスタートすることになっています。食品衛生法改正により衛生管理に関するガイドラインが明記されることとなり、食品製造業などを営む事業主と作業従事者はみながこれらに準拠する必要があります。都道府県は、それらに上乗せした基準を設けて条例化することも可能になっています。
事業者は、衛生管理グループを編成し管理基準を設けた上で、原材料の受け入れと加工プロセスなどについて管理方法を構築し、随時検証を行っていくことになります。製造工程で考えられる汚染の対策方法を決めて実行をし、管理方法などについて記録を行います。これらのことにより食品汚染が発生した場合は、どの工程で発生したのかがすぐに判明するので、迅速な対応策も講じることが可能です。
従来からあった抜き取りなどのサンプル調査では、抜き取ることができなかった食品に問題があっても効果がまったく発揮できません。この点、管理の手法や工程を明確にしておけば検査のすり抜けは発生しないため、食品衛生に関する技術の向上だけでなく、現場で働く作業員ひとりひとりにも意識の向上が芽生えることとなります。経過措置期間が存在するので義務開始年は2021年でありますが、こうしたHACCPの考え方と目的と必要性を事業主が従業員ひとりひとりに周知させるため、着手を早めておけばおくだけ正確かつ円滑に導入がなされることになります。